はじめに
我が国の政府が行う基幹統計は、全数調査で行う場合と、標本調査で行う場合とがあります。みなさんはそれぞれの調査の違い、特徴を説明できますか?
この記事では、科目「社会調査の基礎」の過去問題を取り上げ、全数調査と標本調査の違い等を解説します。
この記事を読めば、これが理解できる!
- 全数調査と標本調査の違い
- 標本調査にはどのような特徴があるのか
- 全数から標本を無作為に抽出するには、どのような方法があるのか
- 標本を取り出すうえでの注意点は何か
参照した文献はこちら
第33回 問題86
標本調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 非標本誤差は、回答者の誤答や記入漏れ、調査者の入力や集計のミスなどで生じる。
2 無作為抽出法による標本調査には、道で偶然に出会った見知らぬ人々を調査対象者として選ぶ方法も含む。
3 系統的抽出法は、母集団を性別や年齢別などの比率で分けて標本を得る無作為抽出の方法である。
4 有意抽出法は、確率抽出法の一方法である。
5 無作為抽出法による標本調査では、サンプルサイズの大小は、母集団を推計する信頼度に関係しない。
解説
正答:1
選択肢1:正しい
1 正しい。社会調査における標本調査で生まれる誤差は、「標本誤差」と「非標本誤差」の2つがあります。
標本誤差とは、母集団から抽出した標本は、母集団の性質を100%表しているとはいえません。つまり、抽出という作業をする以上、どうしても出てしまう偶然の誤差を指します。
一方の非標本誤差とは、回答者の誤回答や誤解、未回答だけでなく調査者のデータ入力や集計のミスによって生まれます。
選択肢2:誤り
2 誤り。無作為抽出法とは、母集団から標本を無作為に抽出する方法で、各構成員が標本として選ばれる確率が等しい方法です。
選択肢にある「道で偶然に出会った見知らぬ人々を調査対象者として選ぶ方法」は、調査者が無意識に対象者を選んでしまう恐れがあるため、確率が同一ではなくなります。
つまり、無作為抽出法とはいえません。
選択肢3:誤り
3 誤り。系統的抽出法とは、母集団の構成員に連番を振り、一定の間隔で標本を無作為に抽出する方法です。文章で説明するのが難しいので、ぜひ上記動画をご覧下さい。
なお、選択肢は層化抽出法の説明です。
選択肢4:誤り
4 誤り。有意抽出法とは、調査者が特定の意図をもって母集団から抽出する方法です。
つまり、各構成員が選ばれる確率が等しくないため、非確率抽出法となります。
選択肢5:誤り
5 誤り。抽出した標本のサイズが小さければ、母集団との誤差が大きくなり信頼度が低くなりまうす。逆に、サイズが大きくなればなるほど、母集団との誤差が小さくなるため、信頼度が高くなります。
よって、標本サイズの大小は、母集団を推計する信頼度に関係します。
出典・引用
第33回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
参考文献
きちんと整理されているのでとても分かりやすく、効率よく覚えることができます!