社会福祉士の秘密保持義務はいつまで続く? 第33回 問題091 相談援助の基盤と専門職

相談援助の基盤と専門職

はじめに

社会福祉士は相談援助を行うなかで、クライエントの秘密を知ることがあります。正当な理由がない限り、この秘密を他者に漏らしてはなりません。

しかし、この守秘義務はいつまで続くのでしょうか?社会福祉士の業務を離れた後においても、その義務は課されるのでしょうか。これに関する規定は、社会福祉士及び介護福祉士法に定めがあります。

社会福祉士及び介護福祉士法は、両資格を定めてその業務の適正を図り、もつて社会福祉の増進に寄与することを目的とするために制定されました。同法に関して解説しながら、社会福祉士の守秘義務の期間についてレクチャーします。

この記事を読めば、これが分かる!

  • 社会福祉士及び介護福祉士法における社会福祉士の役割
  • 社会福祉士が負う守秘義務
  • 信用失墜行為など、禁止事項

参照した文献はこちら

第33回 問題091(社会福祉士国家試験 過去問題)

社会福祉士及び介護福祉士法に規定されている社会福祉士に関する次の記述のうち,正しいものを 1 つ選びなさい。

1 社会福祉士は資格更新のため, 7 年ごとに所定の講習を受講しなければならない。

2 社会福祉士は相談業務を行う上で,クライエントの主治医の指示を受けなければならない。

3 社会福祉士の「信用失墜行為の禁止」は,2007 年(平成 19 年)の法律改正によって加えられた。

4 社会福祉士の「秘密保持義務」は,社会福祉士の業務を離れた後においては適用されない。

5 社会福祉士はその業務を行うに当たって,福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。

解説


正答:5

選択肢1:誤り

社会福祉士は更新制ではありません。資質向上に努めなければならないという義務はありますが、資格更新のために研修を受講しなければならない、というものはありません。

関連する資格では、介護支援専門員が資格更新のために研修を受講しなければなりません。

選択肢2:誤り

同法には、社会福祉士が相談援助業務を行うなかで「医師の指示に従う」といった規定・記載はありません。

業務を行ううえで、クライエントの病気や治療に関しては、医師に指示を仰いだりする場面はあるかと思いますが、法律上ではそのような規定はありません。

関連する資格で、精神保健福祉士法においては次のように定められています。

「精神保健福祉士は、その業務を行うに当たって精神障害者に主治の医師があるときは、その指導を受けなければならない」(精神保健福祉士法 第42条2)

選択肢3:誤り

社会福祉士による信用失墜行為の禁止は、同法の制定時から規定されていたものです。2007年の改正によって加えられたものではありません。

2007年の改正によって加えられた主な事項を記します。

定義規定の見直し

社会福祉士の役割の見直しが行われました。具体的にいうと、社会福祉士はクライエントの相談援助を行うだけでなく、保健・福祉の関係者と連携することを業とする者、と記されています。

義務規定の見直し

義務規定の見直しでは「誠実義務」と「資質向上の責務」が加わりました。また、他職種との「連携」の規定が見直されています。

資格取得方法の見直し

国家試験受験資格を得るために必要な講義演習や、実習の教育内容や時間数が新たに定められました。

選択肢4:誤り

前述のとおり、社会福祉士は業務上、クライエンの秘密を知る場合があり、正当な理由がない限り、これを他者に漏らしてはなりません。この守秘義務は、社会福祉士の業務の離れた後でも続きます。

関連する条文は次のとおりです。

「社会福祉士又は介護福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士又は介護福祉士でなくなつた後においても、同様とする。」(法第46条)

選択肢5:正しい

同法において、社会福祉士は福祉サービス関係者との連携を図らねばならないと規定されています。

仕事を進めるうえで、医療や福祉サービス関係者と連携を図り、クライエントが課題を解決できるように援助していきます。

出典・引用

第33回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)

社会福祉士国家試験、介護福祉士国家試験、精神保健福祉士国家試験:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
社会福祉士国家試験、介護福祉士国家試験、精神保健福祉士国家試験、資格登録、その他社会福祉事業についてのご案内など。

参考文献

きちんと整理されているのでとても分かりやすく、効率よく覚えることができます!

 

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