はじめに
自助グループとは、同じ問題をかかえる人や、障害を抱える当事者たちが集まり、相互理解や支援をし合うグループを指します。
グループとして活動することでどのようなメリット、どのような狙いがあるのでしょうか。過去問題の解説を通して、自助グループの意義を理解していきましょう。
この記事を読めば、これが分かる!
- 自助グループとは?
- 自助グループの活動にはどのようなメリットがあるか
- 障害を抱える学生等に対する支援
参照した文献はこちら
第33回 問題107(社会福祉士国家試験 過去問題)
事例を読んで,Z大学の障害学生支援室のCソーシャルワーカー(社会福祉士)のDさんへのこの時点での対応として,適切なものを 2 つ選びなさい。
〔事 例〕
Z大学 3 年生のDさん(21 歳,男性)は入学前に交通事故に遭い,日常的に車いすを使用している。Dさんの入学以来,Cソーシャルワーカーは面接を行い,必要な支援を提供してきた。ある日,Dさんが卒業後の生活について相談したいと障害学生支援室を訪れた。「就職活動をする時期になり,卒業後は一人暮らしをしたいと両親に伝えました。両親は,最初は反対していましたが,最終的には賛成してくれました。でも,実際に将来のことを考え始めたら様々なことがとても不安で,就職活動が手につきそうにありません」と,Dさんは思い詰めた表情で話した。
1 両親にはこれ以上心配を掛けないよう,自分で解決するように伝える。
2 CソーシャルワーカーがDさんにとって良いと考える具体的な就職先を伝える。
3 不安について具体的に話すよう促し,解決すべき問題を一緒に整理する。
4 障害者の自立生活や就職活動の経験者がいる自助グループへの参加を提案する。
5 就職して一人暮らしをすることは十分可能なので,自信を持つように伝える。
解説
正答:3、4
選択肢1:誤り
Dさんは自立を目指していますが、障害があることによって様々な障壁があると考えられ、とても不安になっています。
このような支援の場面において、Dさんの気持ち・希望を尊重しながら、彼の抱える不安を受容することが求められます。
「自分で解決」という突き放した言い方は、ソーシャルワーカーの支援姿勢・言動として不適切です。
選択肢2:誤り
Dさんの主訴は、具体的な就職先を紹介してほしい訳ではありません。適当な就職先を紹介してあげるのが、ソーシャルワーカーの役割なのでしょうか? 違います。
あくまでも、就職先を決めるのはDさんであり、その自己決定を尊重するのが支援の原則であるといえます。
選択肢3:正しい
ソーシャルワーカーがDさんの話を聴いて、不安を具体的に出し、解決すべき問題は何なのかを整理することは適切な支援であるといえます。
Dさんが自身が自らの問題・課題に気づき、それを自身がどのように解決をしていくのか、一緒になって考えるのがソーシャルワークです。
選択肢4:正しい
Dさんは今、将来のことが不安で就職活動が手につきそうにありません。このようななかで、当事者が支え合うピアグループへの参加することは、Dさんにどのような変化を与えるでしょうか。
同じような当事者たちと情報交換を行うことで、Dさんの考えに良い変化が生まれたり、新たな気付きが得られたりするかもしれません。支援に幅を持たせる意味で有効に働くことが考えられます。よって適切です。
選択肢5:誤り
ソーシャルワークが自信喪失しているDさんに対し、根拠なく励ましをすることは信頼関係を損ねる恐れがあり、不適切です。
今はとにかく不安を傾聴して差し上げ、問題・課題の整理と、解決する手立てを一緒に考えることです。
出典・引用
第33回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
参考文献