はじめに
出産手当金、出産育児一時金の違いをご存知でしょうか?
どちらの給付も、女性の妊娠・出産にかかわるものですが、目的、対象、給付内容が異なります。保健医療サービスの過去問題を取り上げながら、これを解説します。
この記事を読めば、これが分かる!
- 出産手当金と出産育児一時金の違いを知りたい
- 現物給付と現金給付の違い
- 公的医療保険制度における現金給付の種類
- 高額療養費の仕組みを知りたい
- 療養の給付とは、どのようなものを指すのか知りたい
参照した文献はこちら
第33回 問題071(社会福祉士国家試験 過去問題)
公的医療保険の保険給付に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 医療保険の保険給付は,現物給付に限られる。
2 高額療養費の給付は,国民健康保険を除く公的医療保険で受けられる。
3 療養の給付は,保険医の保険診療を受けた場合に受けられる。
4 出産手当金は,女子被保険者及び女子被扶養者が出産した場合に支給される。
5 入院時生活療養費は,特別の病室に入院した場合に限り支給される。
解説
正答:3
選択肢1:誤り
公的医療保険における給付は、現物給付に限らず、現金が給付される場合があります。
現物給付、現金給付には次のような例があります。
現物給付
療養の給付です。次のようなものが現物で給付されます。
- 医師による診察
- 薬剤や治療材料の支給
- 手術、その他の治療 など
現金給付
支給要件に該当する被保険者および被扶養者等に対し、現金が支給されます。
- 傷病手当金:病気がケガが原因で仕事ができず、給料が支給されない場合に支給
- 療養費:保険証を提示せずに医療を受け、後に申請等を行ない償還払いを受ける
- 移送費:医師の指示で一時的・緊急的に必要があり移送された場合に支給
- 埋葬費:被保険者が死亡した場合は被扶養者に、被扶養者が死亡した場合にはその家族に対して埋葬費が支給されます。
- 出産手当金:後述
選択肢2:誤り
高額療養費は、国民健康保険でも適用され給付を受けることができます。
高額療養費とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月で上限額を超えた場合、その超えた金額を支給する制度です。
上限額は、被保険者の所得や年齢等により異なります。
選択肢3:正しい
療養の給付は、厚生労働大臣の指定する保険医療機関において受けられます。よって正しい。
選択肢4:誤り
出産手当金と出産育児一時金の違いを表にまとめました。これを見ると、目的、対象、給付内容の違いが理解できます。
■出産手当金
支給対象は、健康保険(協会けんぽ、健保組合、共済)に加入する被保険者です。国民健康保険の加入者(被保険者)は、出産手当金の支給を受けることができません。
■出産育児一時金
支給対象は公的医療保険(健保、国保いずれも)に加入する被保険者ならびに被扶養者です。
選択肢5:誤り
入院時生活療養費は、65歳以上の被保険者が療養病床に入院したとき、必要となる食費・居住費の標準負担額は自己負担し、残りが支給されます。
選択肢に記載されている「特別の病院に入院した場合」ではありません。
出典・引用
第33回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
参考文献
きちんと整理されているのでとても分かりやすく、効率よく覚えることができます!