はじめに
ソーシャルワーク専門職のグローバル定義に関する問題は、毎年のように出題されます。この機会に定義内容のみならず、注釈を含めて理解するようにしましょう。
科目「相談援助の基盤と専門職」の過去問題で、旧定義と新定義の違いが出題されました。グローバル定義には、ソーシャルワークはどのように定義づけられているのでしょうか。見ていきましょう。
旧定義
ソーシャルワーク専門職は、人間の福利(ウェルビーイング)の増進を目指して、社会の変革を進め、人間関係における問題解決を図り、人びとのエンパワーメントと解放を促していく。
ソーシャルワークは、人間の行動と社会システムに関する理論を利用して、人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する。人権と社会正義の原理はソーシャルワークの拠り所とする基盤である。
(2001年5月、IFSW及びIASSWにより採択)
新定義
ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。
社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学および地域・民族固有の知を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける。
この定義は、各国および世界の各地域で展開してもよい。
(2014年 7月のIFSWとISASSWの総会・合同会議で採択)
この記事を読めば、これが分かる!
- 「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」の概要が分かる
- ソーシャルワークの定義に関して、旧定義・新定義の違いが分かる
参照した文献はこちら
第33回 問題092(社会福祉士国家試験 過去問題)
問題 92 次のうち,「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(2014 年)が「ソーャルワークの定義」(2000 年)と比べて変化した内容として,最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 人間関係における問題解決を図ることが加えられた。
2 中核をなす原理として,社会の不変性の尊重が容認された。
3 実践の基盤として,社会システムに関する理論の導入が加えられた。
4 定義は,各国及び世界の各地域で展開することが容認された。
5 人々が環境と相互に影響し合う接点に介入することが加えられた。
(注)
1 「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」とは,2014 年 7 月の国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)と国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)の総会・合同会議で採択されたものを指す。
2 「ソーシャルワークの定義」とは,2000 年 7 月の国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)で採択されたものを指す。
解説
正答:4
選択肢1:誤り
人間関係における問題解決を図ることは、旧定義に示されており、新定義のなかからは削除されました。よって、誤りです。
選択肢2:誤り
選択肢の内容は、旧定義・新定義いずれも示されていません。
選択肢の「社会の不変性」というキーワードが、新定義にある「~社会変革を進める」と真逆の表現になるため誤りです。
選択肢3:誤り
社会システムに関する理論は、旧定義に示されています。
新定義では、ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学、人権、集団的責任および多様性尊重の諸原理が中核をなすと示されています。よって誤りです。
選択肢4:正しい
選択肢のとおりです。
選択肢5:誤り
「人々が環境と相互に影響し合う接点に介入すること」は、旧定義に示されていました。
出典・引用
第33回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
日本ソーシャルワーカー連盟
参考文献
きちんと整理されているので、とても分かりやすく効率よく覚えることができます!