はじめに
ソーシャルワーカーは支援を行うなかでクライエントのお宅を訪問し面接をすることがあります。
その際の注意点は何でしょうか。過去問題の解説を通して、訪問面接での注意点を理解していきましょう。
この記事を読めば、これが分かる!
- 訪問面接時の目的、意義
- 訪問面接時での注意点
参照した文献はこちら
第33回 問題110(社会福祉士国家試験 過去問題)
事例を読んで,V母子生活支援施設(以下「V施設」という。)のH母子支援員(社会福祉士)がJさんに家庭訪問を提案した目的として,適切なものを 2 つ選びなさい。
〔事 例〕
Jさん(38 歳,女性)は,半年前にV施設を退所した。退所後は仕事をしながら,息子(12 歳)と共にV施設の隣町のアパートで暮らしていた。しかし,最近になって体調を崩し,自己都合により退職した。Jさんは生活に不安を覚え,V施設の支援担当者だったH母子支援員に電話をした。電話では,再就職活動をしているが,適切な職場が見付かっていないこと,手持ちのお金が底をつきそうで今後の生活に不安があること,思春期を迎える息子とのコミュニケーションに戸惑いがあることなどがJさんから話された。話を聞いたH母子支援員は,支援の必要性を感じ早期の家庭訪問を提案した。
1 アパートの家主に同席を願い,Jさんの状況を知ってもらうため。
2 時間の長さを気にせず,訪問面接を行うため。
3 Jさんの生活状況を把握するため。
4 Jさんが,緊張感を持って訪問面接に臨めるようにするため。
5 息子の様子を知るため。
解説
正答:3、5
選択肢1:誤り
現段階では、Jさんの生活状況が把握できておらず、家主との関係がよく分かりません。また、Jさんが希望しているのならばまだしも、その意向も確認せぬまま家主を同席させることは不適切です。
選択肢2:誤り
家庭訪問において時間の長さを気にせずに面接してはなりません。クライエントの様子を観察しながら、適切な時間を見極めて面接時間を設定することが求められます。
短すぎても、長すぎてもダメ。クライエントの体調や表情等から状況を把握して、また、場合によってはクライエントが時間を気にしているのであれば、時間を確認して面接を実施します。
選択肢3:正しい
今回、ソーシャルワーカーが行う面接の目的は、Jさんの生活状況を把握するためです。生活状況を把握したうえで再アセスメントにつなげ、支援の再開を検討する必要があります。
選択肢4:誤り
訪問面接では、クライエントが緊張しないような雰囲気を作ります。Jさんは経済的に不安を抱えていて、かつ息子さんとの関係に悩んでいる様子なので、まずは緊張をほぐして話を聴き、的確な情報を得ることが求められます。
選択肢5:正しい
ソーシャルワーカーが行う面接の目的は、息子を含めた2人の関係性や様子を観察することも含まれます。Jさんのようにひとり親家庭では、母親の支援のみならず、子どもへの支援を視野に入れて面接を進めることが重要です。
出典・引用
第33回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
参考文献