医師は患者の診療の求めに対し拒否ができる? できない? 第33回 問題074 保健医療サービス

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はじめに

医師は患者の診療の求めに対し、拒否ができるのか?できないのか? もちろん、正当な理由があればこれを拒否することができます。では、どのようなケースが正当な理由と考えられるのでしょうか。

保健医療サービスでは、医療専門職の定義や役割等が頻繁に出題されます。今回は医師に関する事項で、過去問題を取り上げながら、これを解説します。

この記事を読めば、これが分かる!

  • 診療を拒否することができる「正当な理由」の例を知りたい
  • 医師の守秘義務違反に関する罰則を知りたい
  • 医師の従事する医療機関で最も多いものを知りたい
  • 医師免許の付与権者、監督官庁はどこか知りたい

参照した文献はこちら

第33回 問題074(社会福祉士国家試験 過去問題)

日本における医師の資格、業務及び偏在に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。

1 医師が正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らす行為は、刑法により罰せられる。

2 医師は診察治療の求めがあった場合には、事由のいかんにかかわらず、拒むことはできない。

3 医療施設に従事する医師の人口 10 万対の数を地域別にみると、東北地方に比べて近畿地方が少ない傾向にある。

4 医師の養成機関に対する指定権者は、厚生労働大臣である。

5 医療施設に従事する医師数を施設種別にみると、診療所に従事する医師が最も多い。

解説

正答:1

選択肢1:正しい

医師、薬剤師等の守秘義務違反には罰則が設けられています。業務上知り得た人の秘密を、正当な理由なく漏らした場合、秘密漏示罪(刑法)違反となり罰せられます。

正当な理由は、次のようなものが挙げられます。

  • 虐待が疑われる患者を発見し、関係機関に通報・通告する
  • 人工妊娠中絶の届出
  • 第三者の利益を保護するために、秘密を開示する 等

選択肢2:誤り

医師は患者からの診療の求めに対し、正当な理由がある場合は診療を拒否することができます。正当な理由とは、次のようなものを指します。

  • 満床で診察できない場合
  • 医師が体調不良等で診療環境が整わない場合
  • 患者が資力があるにも関わらず、診療費の支払いを拒否し続け、再三の催促を行っても支払われない場合

つまり、理由によっては診療を拒否することができるため、選択肢の文章は誤りです。

選択肢3:誤り

人口10万人当たりの医師数において、近畿地方と東北地方を比べた場合、前者が数が多いです。近畿地方は、全国平均と比較しても多くです。

東北地方は近畿地方と比べ、人口や病院の数が少ないと容易に想像ができるため、この選択肢は誤りだと気づいた方は多かったのではないでしょうか。

選択肢4:誤り

医師を養成することができるのは医学部のある大学、医科大学です。これは学校教育法に規定されます。よって、医師養成機関を指定することができるのは文部科学省、文部科学大臣です。

一方、医師免許の付与は厚生労働大臣が行います。

選択肢5:誤り

従事する医療機関のうち、医師数が多いのは次の順です。

  1. 病院
  2. 診療所
  3. 医育機関付属の病院

病院とは、医療法で「20床以上のもの」と定められています。一方で診療所(いわゆるクリニック)は、同法において「19床以下のもの」と定められています。

出典・引用

第33回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)

社会福祉士国家試験、介護福祉士国家試験、精神保健福祉士国家試験:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
社会福祉士国家試験、介護福祉士国家試験、精神保健福祉士国家試験、資格登録、その他社会福祉事業についてのご案内など。

参考文献

きちんと整理されているのでとても分かりやすく、効率よく覚えることができます!

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