はじめに
障がい児・者に対する現金給付にはいくつか種類があります。
過去問題を取り上げながら、障がい児・者に対する給付にはどのような給付があり、誰が対象となるのかを解説します。
第33回 問題53
障害児・者に係る現金給付に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 出生時から重度の障害があり、保険料を納めることができなかった障害者は、保険料を追納した場合に限り、障害基礎年金を受給することができる。
2 在宅の重度障害者は、所得にかかわらず特別障害者手当を受給できる。
3 障害厚生年金が支給される場合、労働者災害補償保険の障害補償年金は全額支給停止される。
4 特別児童扶養手当を受給している障害児の父又は母が、児童手当の受給要件を満たす場合には、児童手当を併せて受給できる。
5 障害児福祉手当は、重度障害児の養育者に対し支給される手当である。
解説
正答:4
選択肢1:誤り
1 誤り。20歳前に障害を負い、障害認定日以降に20歳に達したときは、年金保険料の納付や追納がなくても、障害基礎年金が支給されます。
つまり、国内に住所を有し生まれながらの障害を抱えていれば、障害基礎年金を全額受給することができます(所得制限内であれば)。
詳しくは下記引用に記している日本年金機構のHPをご覧下さい。
選択肢2:誤り
2 「所得にかかわらず~」という点が誤り。そもそも、特別障害者とは「20歳以上であって、著しく重度の障害の状態にあるため、日常生活において常時特別の介護を必要とする者」をいいます。
特別障害者手当は、在宅の特別障害者が支給の対象となりますが、所得による支給制限があります。
選択肢3:誤り
3 誤り。障害厚生年金と労働者災害補償保険の障害補償年金を併給する場合には、全額支給停止ではなく、減額支給がなされます。
我が国の社会保険制度で併給が行われる場合には、原則として、支給金額の調整が行われると理解しておいて差し支えありません。
選択肢4:正しい
4 正しい。そもそも特別児童扶養手当とは、精神又は身体に障害を有する児童について、その保護者等に支給される手当です。
特別児童扶養手当と児童手当の併給は可能です。但し、次の事項に該当すれば支給金額に調整が入ったり、給付が制限されたりする可能性があります。
- 障害児が障害を支給事由とする年金給付を受けることができるとき
- 受給資格者の所得が一定額以上であるとき
選択肢5:誤り
5 誤り。障害児福祉手当は、その養育者ではなく重度障害児本人に支給されます。
重度障害児とは、障害児のうち、重度の障害の状態にあるため、日常生活において常時の介護を必要とする者を指します。
出典・引用
- 第33回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
- 20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等(日本年金機構)
参考文献
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