第32回 問題071
医療施設等の利用目的に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 介護医療院の利用は、主として長期にわたり療養が必要である要介護者を対象としている。
2 療養病棟の利用は、急性期で医療的ケアが必要である者を対象としている。
3 地域包括ケア病棟の利用は、病院で長期にわたり医療的ケアが必要である者を対象としている。
4 介護老人保健施設の利用は、高度で濃密な医療と介護が必要である者を対象としている。
5 回復期リハビリテーション病棟の利用は、高度急性期医療を受けた後、終末期と判断された者を対象としている。
解説
選択肢1:正しい
正しい。介護医療院は、要介護高齢者の長期療養・生活施設として位置づけられ、介護保険法第8条 第29項において定められている施設です。
「要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする」(介護保険法)
よって、選択肢1に記載のとおりであるため正しいです。
選択肢2:誤り
誤り。「急性期で医療的ケア~」という記載が間違っています。そもそも、医療機関にはどのような病床・病棟があるのでしょうか。
医療法第7条第2項においては、次の5種類が病床区分として規定されています。
- 療養病床
- 精神病床
- 感染症病床
- 結核病床
- 一般病床
上記のうち、療養病床は「主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるためのもの」として位置づけられています。
つまり、急性期を脱した慢性期に至る長期入院患者に対する医療サービスの提供を担っているといえます。
選択肢3:誤り
誤りです。地域包括ケア病棟は、2014年度の診療報酬改定において新設されました。
地域包括ケア病棟とは
急性期治療を経過した患者等を受け入れ、患者の在宅・生活復帰支援を担うとともに、介護施設、自宅等から患者の緊急時の受け入れにも対応する病棟です。
次の事項が設置基準とされています。
- 在宅復帰率が7割以上あること
- 当該保険医療機関内に入退院支援及び地域連携業務を担う部門が設置されていること
- 疾患別リハビリテーション料または、がん患者リハビリテーション料を届けていること
選択肢4:誤り
誤りです。「高度で濃密な医療と介護~」という記載が誤りです。
介護老人保健施設とは、介護保険法第8条第28項に規定されています。
「要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護・医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設」(介護保険法)
医療法における医療提供施設の一つではあります。ただし、急性期病棟のような高度で濃密な医療の提供は前提としていないため、誤りです。
選択肢5:誤り
誤り。回復期リハビリテーション病棟とは、脳血管疾患または大腿骨頸部骨折等の患者に対して、ADL(日常生活動作)の向上による寝たきりの防止と家庭復帰を目的とした短期集中的なリハビリテーションを行うための病棟とされています。
その対象は次のような疾患です。
- 脳血管疾患
- 脊髄損傷
- 大腿骨頸部骨折
- 骨盤骨折
発症から入院までの日数や、入院期間も疾患によって規定されています。
出典・引用
社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
参考文献
きちんと整理されているのでとても分かりやすく、効率よく覚えることができます!