はじめに
家族システム論とは、家族の様々な問題を、家族成員同士の相互関連性から捉える理論です。家族システム論には、次のような特徴があります。
家族システム論の特徴
- 原因と結果が円環的に循環する
- 家族の内と外は独立したシステム
- 家族成員の分化度が高いと、各成員の独立度が高い ほか
この記事を読めば、これが分かる!
- 家族システム論の概要
参照した文献はこちら
第33回 問題099(社会福祉士国家試験 過去問題)
家族システム論に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 家族内で生じる問題は,原因と結果が円環的に循環している。
2 各家族員の分化度が高いほど,家族内において相互依存が生じる。
3 家族の内と外は,区別されず連続している。
4 ある家族の全体が有する力は,各家族員が持つ力の総和に等しい。
5 多世代家族において,一つの世代の家族の不安は,別の世代の家族に影響を与えない。
解説
正答:1
選択肢1:正しい
家族システム論では、家族内で生じる問題は、原因と結果を円観的に循環しているという視点に立ちます。
例えば「子供が不登校になる→成績が下がったから」という考え方は、原因と結果を直接的に結びつけている典型例です。
家族システム論では、成績が落ちた→親が叱る→親へ反発→学校をさぼる→成績が落ちる、という円環的な観点で捉えます。
選択肢2:誤り
家族成員の分化度が高いと、知性・感情のバランスが取れ、各成員が独立している状態となります。つまり、分化度が高い場合は、相手に合わせた関係を作ることができるといえるでしょう。
一方で、分化度が低い場合には、知性・感情のバランスを欠いてしまい、相互依存が促進してしまいます。家族の相互依存は当たり前ではありますが。
選択肢3:誤り
家族の内と外は区別する、という考え方です。
家族には特有の文化があり、コミュニケーションやルール等は家族同士だけで成り立つものがあります。
内と外には境界があり、この境界が曖昧になる(選択肢では「区別されず連続」と記載)と、家族機能が弱まるという特性を持つという理論です。
選択肢4:誤り
家族の全体が有する力は、各家族員の持つ力の総和+αとなります。
選択肢5:誤り
多世代家族の場合、各成員の横の影響を受けるだけでなく、世代を超えた縦の影響があると考えます。
祖父母世代の考え方や気性が、次の世代に影響を及ぼすため、選択肢5は誤りです。
出典・引用
第33回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
参考文献
きちんと整理されているのでとても分かりやすく、効率よく覚えることができます!