はじめに
エコマップ、ジェノグラムはいずれも、利用者とその他との関係を図式化する手法で、アセスメントのツールとして利用されています。この記事を読んで、それぞれの違いを見ていきましょう。
この記事を読めば、これが分かる!
- エコマップの概要
- ジェノグラムの概要
- 両者の違い
- 多職種ネットワーク形成における注意点
参照した文献はこちら
第33回 問題112(社会福祉士国家試験 過去問題)
次のうち,ネットワークに関する記述として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 ジェノグラムは,クライエントを取り巻く人間関係や社会環境における資源のネットワークを可視化したものである。
2 地域で構築される個別の課題に対する発見・見守りネットワークは,専門職を中心に構成される。
3 ラウンドテーブルとは,ボランティアグループのリーダーが参加する活動代表者ネットワークである。
4 多職種ネットワークでは,メンバーができるだけ同じ役割を担うようにコーディネートする。
5 個人を取り巻くネットワークには,個人にプラスの影響を与えるものと,マイナスの影響を与えるものの双方がある。
解説
正答:5
選択肢1:誤り
ジェノグラムは、家族の全体像を捉えるために、利用者を含めた家族構成を表し、各員との関係を図式化したものです。利用者・家族がどのような環境に置かれているか、その背景を把握することができます。
選択肢は、エコマップについての説明です。エコマップの例を画像でご確認下さい。
エコマップとジェノグラムの違いはこちらです。
選択肢2:誤り
地域で構築される個別の課題に関する発見・見守り活動は、インフォーマルサポート(家族、親族、友人、地域住民等)を中心に行われるのが適切であるといえるでしょう。
もちろん、フォーマルサポート(各種専門職)が全くしないという訳ではなく、地域に最も近い住民等が発見・見守り活動を行った方が効果的であるうえ、各種専門職は本来の役割に時間を割くことができます。
選択肢3:誤り
ラウンドテーブルとは、元々円卓という意味です。つまりは、役職や立場などに関係なく、様々な所属や立場の人々が、テーブルを囲んで対等な関係で自由に意見を交換するコミュニケーションの手法のひとつです。
メリット
- 自由に発言しやすい
- 様々な立場の人の考えを間近で聴くことができる
- 参加者の一体感を醸成等
選択肢4:誤り
多職種ネットワーク形成においては、様々な専門職が異なる専門領域から別々の役割を担えるようにコーディネートするのが求められます。
市町村、地域包括支援センターが開催する地域ケア会議がいい例で、目的に応じて、様々な専門職が会議に参加し、それぞれの専門的見地から意見を交換し、切れ目なくサポートシステムを構築するのが狙いです。
同じような専門職を集めて、同じ役割を担わせるようにコーディネートすると、多職種連携の意味が薄れてしまい、結果的に切れ目のあるサポート体制になる恐れがあります。
選択肢5:正しい
ネットワークの構築は支援の充実化を図る一つの手段でありますが、クライエントの支援に関して全てプラスになるとは限りません。
ソーシャルワークは、ネットワークの構築によって生まれるプラス面・マイナス面いずれもがあることを理解しておくことが求められるでしょう。
プラスに働く面
- 目的・ゴールの共有
- 様々な社会資源からの支援
- 情報の交換、関係づくり等
マイナスに働く面
- 責任の不明確化
- 支援に積極的でない機関があると、それに影響を受け協力が得られにくくなる
- 同調圧力によって意見が言えない等
出典・引用
第33回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)
参考文献